2005-01-01から1年間の記事一覧

韓・中・日共同歴史副教材『未来をひらく歴史』をめぐって

上に書いたような流れで、最近発刊された韓・中・日共同歴史副教材『未来をひらく歴史』(ISBN:4874983413)というのも見られるというか、見るべきなのだが、那須さんもいわれるように、それがあまり日本で一般的であるようには見えない理由は、日本の初等中等…

イギリスの歴史教育

そういうことを考えていたときに、那須さんからトラックバックされた。中途半端にid:flapjack:20050612でリンクをはっただけのトリストラム・ハントのガーディアン論説の意味について解説してくださったのだ。あることについてちょっと書いてはそれをフォロ…

概説書/教科書の使い方

自分のことを振り返ると、人文系の概説書/教科書というのは初心者が読むべきものとされているのだが、僕個人としては日本での学部から院にかけて概説書をきちんと読めたためしがなかった気がする。ぴらぴらめくって、はーん、みたいな。概説書/教科書とい…

読書能力の発展段階

読書能力の発展段階を<①論理を追うほどの能力がないので、適当に名句のようなものを探し当て、そこだけに過剰反応する>→<②論理が追えるようになり、ついつい性急に結論部を探してしまう>→<③全体が見渡せるようになり、細部をじっくり楽しむ余裕ができる…

「“テロとの戦い”の真相」再放送決定

id:flapjack:20050606#p2で放送を逃してしまった、BBCのドキュメンタリーの再放送決定とのたれこみをいただきました。ふーちゃんありがとう。 http://www.nhk.or.jp/bs/wdoc/ “テロとの戦い”の真相(再) 6月25日(土)後2:10〜5:00 ご好評を頂いた「“テ…

土曜日のガーディアン論説

とりあえず、翻訳する時間がないので、日本の文脈ともいちばん関係あるものだけを一つをあげておく。トリストラム・ハントによる歴史教育についての文章で、「過去の徴発―歴史教育を幼稚な道徳劇にかえてしまおうとするな」というもの。 Conscription of the…

フランス=イギリス―心理的なあや

もちろん、こうしたEU経済改革についてだけが、論点なのではなくて、イギリスとフランスのあいだには微妙な心理的あやが存在する。たとえば、小林恭子さんは、「フランスが悪い」という最新のエントリーでイギリスの政治家たちがEU憲法を国民投票で否定され…

フランスとイギリスの温度差―EUの経済政策について

ジジェクとロビン・クックについて足りない頭で考えてみたわけだが、それをさっそくfenestraeさんがフランスからの視点で相対化してくださった(id:fenestrae:20050606#TCENonPorteurDEspoir)。そのおかげで、イギリスからみえる風景とフランスから見える風景…

The Power of Nightmares:「“テロとの戦い”の真相」としてNHKBS1で放映

id:flapjack:20041104#p2で少し詳しく紹介した、BBCで放映されたドキュメンタリー番組 The Power of NightmaresがNHKBS1で昨夜三部一挙に放映されたことを no frillsさんのところでしる。知らんかったよー。ぜひ日本でもやってほしいと思っていたので…

EU憲法否決についてのジジェクの論説への疑問

fenestraeさんがこう書かれている(id:fenestrae:20050604#TCEConcurrenceLibreEtNonFaussee)。 ノンが既定事実になったとあと、もう一度ノンを再訪しながら、こうやって書いていると、ノンの人々の議論を追認するようなぐあいになっていくのは、現実への日和…

イザベル・ヒルトンの中国アップデート

同じく土曜日のガーディアン論説から。 http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,1498958,00.html 中国共産党の一党独裁の正統性が、天安門以降揺らいでいることと、党がナショナリズムをあおっていることと関連しているという話。 イサベル・ヒルト…

スラヴォイ・ジジェク on 欧州憲法否決

昨日のエントリー(id:flapjack:20050603#p2)で EUをひっぱる政治家たちが民衆の不安に対してまともに対応してこなかった という分析がでている話をかいたけど、土曜日の論説でもスラヴォイ・ジジェクがこの点をさらに強調している。 彼の論説のタイトルは、…

レイモンド・ウィリアムズを想う

おっと、あと次の週末が来る前に先週のガーディアン・オブザーバーの週末読書欄から。イギリスでは過去の人になってしまっているっぽいレイモンド・ウィリアムズ。小説を書くことがそれほど彼にとって大きかったとは知らなかった。 http://books.guardian.co…

フランス・オランダEU憲法否決

否決ありかも、といわれていたが、実際否決されたときEUをどうしていくのか、そこはあんまり考えられていなかったわけで。。考えられる4つのシナリオ。まあ、これだとmuddle through(当座しのぎでやりすごす)というシナリオになりますが。 ブレアはかんぜ…

ボブ・ウッドワードのディープスロートについての回顧録

ボブ・ウッドワードは、ニューヨークタイムズに入社する以前に、たまたまディープスロートことMark Feltと知り合いになっており、その後いろいろキャリアについて相談にのってもらったりしていたらしい。新聞記者になるときめて、ローカル紙で修行をつみはじ…

接続のためのクリップ

・駐日フランス大使のウェブログ at はてな*1 http://d.hatena.ne.jp/Montferrand/ 大使館は何よりもまず対話のための媒体であらねばならぬと考えています。そこで、在京の大使館の活動をより良くご理解いただき、日仏間の対話の促進に役立つ話題を提供する…

ガーディアン ウェビー(Webby)賞受賞

数日前から書こうと思ってそのままになっていたのだが、5月3日に、ウェブ版ガーディアン「ガーディアン・アンリミティッド」が、ウェブにおけるアカデミー賞といわれるウェビー賞(the Webby Awards)の新聞部門で、同じくノミネートされていたニューヨーク…

イギリス総選挙結果

そろそろイギリスの総選挙の多勢が判明してきた。まあ、こんなもんかな、というかんじ。労働党がそれ自体は歴史的な三期連続の勝利をおさめるのはわかっていたけど、どれくらい議席を減らすか、というのが焦点だった。BBCの予測では第二党との差が167議席…

英国メディア・ウオッチ

前回のエントリーをあげたあと、デザインを変えて、サイドバーを初導入。どうですかね。 それはともかく、これまでもそうですが、ここのところトラックバックしていただいた方々、どうもありがとうございました。 ここではカテゴリーわけもせず、いろいろ書…

ガーディアンはどうやって社説の論調をきめたか。

「ガーディアンがどうやって今回の選挙についての社説の論調を決めたか」ということについて、ガーディアンの選挙ブログで、アラン・ラスブリッガーというひとによるエントリーがでた。ざっと訳してみたい。 5月3日の一週間ほどまえのお昼時間に、ガーディ…

イギリス総選挙直前 ガーディアンの社説

イギリスの総選挙が金曜日に迫っている。ガーディアンの論調は、イラク戦争の責任は大きいが、保守党に政権を渡すことは考えられない、労働党に投票するべきである、というラインで一貫している。(もちろん、論者が明記される論説 comments においては以前i…

剽窃禁止というゲームの射程

少し前に、非常勤先の授業で、レポートを課すけれども、剽窃plagiarism厳禁、発見されたら(これがなぜか結構簡単にわかる)即落すと述べた上で、では剽窃とは何かということについて話す。 剽窃とは、他人の考察・分析を引きながら、それに対する出典指示(r…

ガーディアンの中国関係論説:中国人の人種差別意識について

イギリスにいる中国系の友人からメールでまわってきた。これ、読んだか?とのメール。読んでなければ嫁って。土曜日のガーディアンの論説欄からだ。読み逃していた。筆者はまえにここでもひいたことのあるマーティン・ジャック(Martin Jacques)。とくれば、…

ヨハネ・パウロ二世、最良にして、最悪の時代

教皇が死んだ。そのあおりで、イギリスではチャールズとカミラ・パーカー=ボウルズの結婚式が延期になるらしい。それはどうでもいい。なんだかよくわからないのは、ローマとかいろんなところでカトリックの人が教皇の死を悼んでいるのをみて、急にしおらし…

雑感

あれ、もう一週間経ってんのか。いやあ、楽しかったです(↓)。しかし、はてな、ずいぶん書いてませんね。以下、リハビリをかねてだらだらと。 このあいだ、親戚の家においてもらっていた本の箱をひとつあけたら(とても他の箱を開けてみる気にならなかった…

ソースの全文掲載

R30さんの“集団自殺”するテレビ局、ソースを出す日経というエントリーを読んだ。ここでR30さんは、日経新聞が、「ニッポン放送に対して、東京地裁が下した仮処分命令の要旨、本文、債権者・債務者双方の法廷での主張、本件(新株予約権)の要綱などを、すべ…

Question Time from Shanghai

そういや、昨日げっそり疲れてもう寝ようと思ったのにふとつけたテレビで、前にもかいた Question Time (上の検索窓でも使ってください)をやっていた。なんか、いつもとちがう。今オックスフォード大学の学長(chancellor)になっているイギリス最後の香港総…

近況

ひっこしってほんとたいへん。普段の整理下手がこういうときにつけになるのだ。しかし、これを逆手にとって箱詰めする本のリストをつくったりしだしたから、さらにドツボ。でもとりあえず大部分は終わった。ふー。しかし、こういうときに限って急ぎのゲラの…

BBC改革

改革なんだけど、これはBBCのチャーター(憲章でいいのかな)が今年期限が切れるので、今後10年間(だったけか)どうするのか、という根本的なみなおし案を、文化相のテッサ・ジュエルが昨日発表した。めっさ忙しいので、とりあえずガーディアンにリンクだ…

形式性に関するメモ

たまたま見つけた朝日新聞の蓮實重彦のインタビューからメモ。 「真面目さの欠如がいかに世界を単調にするか(1)」 「その場合、ポストモダンとはなにを指すのでしょう?」と確認をもとめられて、 モノを書く際、人は自己言及的にならざるをない。その自己…