ソースの全文掲載

R30さんの“集団自殺”するテレビ局、ソースを出す日経というエントリーを読んだ。ここでR30さんは、日経新聞が、「ニッポン放送に対して、東京地裁が下した仮処分命令の要旨、本文、債権者・債務者双方の法廷での主張、本件(新株予約権)の要綱などを、すべて生データでウェブサイトに掲載した」ことを高く評価している。
 このソースの全文掲載について、2003年(ということはもうおととしか)の暮れに、書いたことがある(id:flapjack:20031226)。そこで書いたのは、自民党が外交・国防関係の議員らむけに作成・配布した、イラクへの自衛隊派遣についての想定問答集を、朝日新聞が入手しそれを紹介した記事についてだった。なぜ、せっかく入手した想定問答集の全文をウェブ上に載せていないのか(さらに、他人事のように論評していることに対して)かなりいらだって書いた文になっている。ソースの全文掲載が(ウェブ上のみではあるが)ようやく動き始めたのは喜ばしいことだ。
 しかしR30さんが

これも、国会冒頭での首相の所信表明演説さえ全文ではなく要旨しか載せず、まして個々の民事裁判の判決をデータベース化されるのを裁判所が極度に嫌がるのを知っている新聞にとっては、極めて異例のことだろう。

と書いているのを読むと、あらためて新聞の怠慢さにむかつくものがある。

 でもそれからかなりの時間が経って、今や無数のブログがインタビューそのものや役所、企業の公式発表を読みくだし、解釈してニュース記事を生成するようになった。ソースを解釈して記事を書くのがマスメディアの独占的役割だった時代は、そろそろ終わろうとしている。日経のこの判決文全文掲載というアクションは、こうした圧倒的な速報性の求められるニュースでは、インターネットに対していちいち解釈した(=タイムラグのある)ニュースではなく、スピーディーに「ニュースソースそのままを提供する」ことこそがマスメディアに求められていると、彼らなりに結論づけた結果ではないだろうか。

 ブログがなくてもやれっていう感じが個人的にはするけど、やっぱそういうわけにはいかなかったわけだ。でもまあ、いいや。これからもこういう動きが継続していってほしいと思う。