政治家の発言の扱われ方に関して

下のid:jounoさんのコメントに関して補足。
《議会での発言とかはどうなんでしょうか》という点に関してですが、党大会における政治家の演説に関しては、去年id:flapjack:20031109で以下のように書きました。

選挙が目前に迫っていなくても、当たり前に毎年新しい政策をこの場で打ち上げる、という点が重要だ。さらに重要なのは、党大会会場において党内に理解と支持を求め、同時にテレビ・メディアを通じて国内全体へのアピールするような構造になっていることだ。もちろん、党大会会場では執行部の打ち出す政策に基本的には好意的であり演説中にはしばしば非常に長い拍手が巻き起こる。そうやって、党の結束と政策を国民にアピールするのだ。
 政権にある党は、その前年においてどれほど自分たちが国の状況を様々に好転させたか、という点について数字をあげて自らの成果を誇る。野党は、政府の政策の問題点を突きつつ、オルターナティブな選択肢を提出する。
 BBCでは、それぞれの党大会期間中、その日に提案された政策とその日の演説の出来についてさまざまな批評、解説がなされる。翌日の新聞でもかなり詳細な政策の紹介と、前日の党大会での出来事についてかなりの紙数が費やされる。演説の出来はなかでも特に重要で、内容、ジョーク、身振り、あらゆる側面についてかなり厳しい目で批評される。

 これに加えて、マーケットの馬車馬さんの論理の嫌いな日本人(1) 議論が報道されない国もご覧下さい((2)(3)に関してもほぼ完全に同感する)。そこで紹介されているDaily Politicsという番組は、基本的には議会や政党の党大会が開催されている期間にあわせて放映されている。たとえばブレアが議会で重要な演説をするときは1時間どころか一回2時間以上放映されることも稀ではない。この番組は、馬車馬さんもいわれるように、「2〜4人くらい集めてああでもないこうでもないと議論を」しているわけだが−時に話題によって議論をする人が入れ替わったりする−重要な演説があるときにはそちらに中継し、それが終わったら、スタジオに戻ってその演説に関して議論を繰り広げる、議会・党会議の会場のすぐ外からその場にいた人々もライブリンクで議論に加わる、という感じ。
 普段も、硬派なニュース番組では(チャンネル4の7時のニュース、BBC2の10:30からのニュースナイト)では問題になっている政策担当の国会議員(大臣でなくてもministerレベル)と野党(保守党・自由民主党)の同レベルの議員がスタジオに、あるいはビデオリンクを通じて出演し、ニュース・プレゼンターがそれぞれに対してかなり質問を浴びせつつ双方が応酬する。
 こうしたことの全てはもちろんjounoさんのいう「知的主張の発言における声の人格性」ということに関わっていると思う。日本でも「声の人格性」を求める潜在的な要求はあるとおもうんだけれども、それはいわゆるワンフレーズ・ポリティクスというかたちでのみ機能している。ある種過激な発言がそこだけ切り取られて流されていて、それが「気骨のある発言」といった評価を多くの人にされている側面があると思う(そういう発言は、知的主張なのだろうか、そうかもしれないけれども情緒なものと分離されていないように見える)。その当の発言がなされた全体の文脈(つまりその発言の前後)がわかるかたちでテレビで流れるとすると、評価する人も「え?」と思ってしまうことはかなりあるのではないかと思うのだけど。

あと、話はずれるがjounoさんつながりで。id:jouno:20041107#1099782155での《最近目にする極左とか極右とか左翼、右翼の言葉遣いがちょっと気になる》という話は、天皇米長対話について記したid:flapjack:20041029#p2の話にかかってるわけで、少し反省。ちょっと考えたんだが、楽にながれてしまった(カタカナって確かに言い訳につかえるよなあ、気をつけよ)。
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