The Power of Nightmares

という話を昨日の夜BBCを見ながら書いていたのだった。見ていたのはThe Power of Nightmaresという3回シリーズの最終回だったのだが、これは是非翻訳して日本でもやってほしい。ほんと、呆気にとられるよ。とりあえずBBCのウェブサイトをあげとくけど、ここにある分だけでも翻訳したいんだけどな。
Part I: Baby It's Cold Outside
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/3755686.stm
Part II: The Phantom Victory
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/3951615.stm
PartIII: The Shadows In The Cave
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/3970901.stm

ガーディアンの番組に関する記事
http://www.guardian.co.uk/terrorism/story/0,12780,1327904,00.html
http://media.guardian.co.uk/broadcast/comment/0,7493,1332237,00.html
(メディア・ガーディアンは登録しないと読めないが、登録自体は無料である)

とりあえず、上にあげたPart I: Baby It's Cold Outside ベイビー、外は寒いよのBBCの紹介ページだけ訳してみた。なんかこうやってあらすじだけ書いてもいまいちぴんとこないかもしれないんだけど。時間があれば上の紹介とかもあわせてもう少し具体的なこととも埋めてみたい。

 過去、政治家たちは私たちに、よりよい世界という夢を示してきた。今、政治家たちは、悪夢から私たちを守ると約束する。悪夢のなかでもっとも恐ろしいのが国際的テロネットワークの脅威である。しかし夢が真実ではないのと同様に、これらの悪夢も真実ではない。
The Power of Nightmares 悪夢の力は、私たちが隠れた組織的テロリストのネットワークによって脅かされているという考えがいかに幻想であるかを探る。
 それは、政治、諜報機関、国際的メディアを通じて疑問に付されることなく広がった神話である。
 この話の中心には二つのグループがいる。アメリカのネオコン(neo-conservatives)とイスラム過激派(the radical Islamists)である。
 両方のグループとも、よりよい世界をつくるというリベラルな夢の失敗から生まれた理想家たちである。
 両方のグループとも世界を変えてきたが、どちらもそれぞれが意図するのではないかたちで変えてきたのである。
 ともに彼らは、組織的テロネットワークという今日の悪夢をつくりだしてきた。
 そして、政治家たちが見つけたファンタジーが、幻滅した時代において彼らの力と権威を回復させた。最も暗い恐怖をもつ者がもっとも力をもつ者になったのである。
 恐怖の政治学の勃興は1949年に二人の男とともにはじまった。彼らの過激な思想が 9/11の攻撃のヒントとなり、ワシントンを支配するネオコンの運動に影響をあたえていく。
 これら二人の男たち(注:エジプト人イスラム思想家であるサイード・クトブ Sayyid Qutb、ネオコンの思想的創始者であるアメリカの政治思想家 レオ・ストロース Leo Strauss −二人の思想はその表面上の立場の違いにもかかわらず、その内実はあまりにも似ている)は、現代のリベラルな自由が、社会を一つに結びつけていた絆を侵食していると信じていた。
 彼らがそれぞれにインスピレーションをあたえた二つの運動は、それぞれにことなったかたちで、リベラルな自由という腐敗から彼らの属する社会を救おうとする。
 しかし、政治に対する幻滅の時代において、ネオコン一派は彼らのヴィジョンを追及するために恐怖(の政治)に頼ることになる。彼らは、自分たちだけが見ることにできるソ連による悪の隠されたネットワーク(の像)を作り出すだろう。
 一方、イスラム主義者たちは、彼らの夢に大衆が従おうとしないのに直面して、人々が「真実をみる」ように強いるために恐怖(の政治)に頼りはじめる。

そういうわけで、ネオコンイスラム過激派が、いかにパラレルな思考方法をしているかを、第二次大戦直後から、具体的な証拠てんこ盛りで例証していくのだ。

このドキュメンタリーをつくったアダム・カーティス Adam Curtisに関しては、オブザーバーの以下の記事を参照。
http://observer.guardian.co.uk/review/story/0,6903,1334518,00.html

イード・クトブに関してはとりあえずウィキペディアを参照。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sayyid_Qutb
ガーディアンも Is this the man who inspired Bin Laden? これがビン・ラディンにひらめきを与えた男?というRobert Irwinによる記事を2001年に掲載している。
http://www.guardian.co.uk/g2/story/0,3604,584478,00.html
と思ったら、media@francophonieでエントリーがきちんとあがっているでないの。「イスラム主義の思想的支柱、Sayyid Qutbの著作をはじめてフランス語で紹介」ということだが、とりあえず日本語かつウェブ上で、クトブの生涯・思想にかんしてだったら、まずここということになるのでは。
http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/6015033.html