今日の身近なアメリカ

僕が属している学科の修士・博士の学生の半分ぐらいはアメリカ人なのだが、今日夕方になってから院生部屋に顔を出したら、このアメリカン・コンティンジェントはアメリカ大統領戦の結果をめぐって話がとまらず仕事にならなかったらしい。みな当然のごとく反ブッシュである。というわけで、みなで今のアメリカを、民主党のふがいなさをなげいていたわけだ。このアメリカ人院生たちのなかにはここのところのアメリカの雰囲気がいやでいやでイギリスにやってきたという人も結構いる。というか少なくともこの点がイギリスにきた理由の少なくとも一つというのが全員なのだ。来年修士が終わった後(イギリスの修士はふつう1年)イギリスで3年PhDやればブッシュのアメリカにすまなくてすむ、とか、ブッシュが大統領でいるかぎりぜったいアメリカには帰らない、とかいってるやつもいるし。イギリスのアメリカ人というのはそれでそれで少したいへんである。イギリスの人のアメリカに対する感情には複雑なものがあって、たとえばかなりすごい量のアメリカのテレビ番組がイギリスでも放映されているが、にもかかわらず、アメリカ人に対する、ある種の軽蔑的感情というのもあるし。知り合いが大学のある語学のクラスで、練習として「アメリカが好きな人は手を挙げて」というと誰も手を挙げなくて、逆の質問をするとたくさん手が上がったというし。もちろん日本人だってアメリカに対して複雑な感情をもつのは当たり前だが、イギリス人のアメリカに対する感情的屈折の度合いはもっと深い。そこに傷ついてイギリス嫌いになってアメリカに帰っていた人も知っている。とはいっても、それでも「イギリスにいるほうがぜんぜんマシだ−、メディアが機能してるし」(これ、みんな言うね)という話にもなる。