データベースと検索エンジン

 ちょっとズレるけど、これも昨日からの続きで昨日ひいたドラエモン氏の言葉を再掲。

 経済学はシステム科学だから、断片化されたデータは余り意味をもたず、統一された視点から収集されたデータセットとかデータベースが重要。で、古典経済学はまさにデータベースだったわけ。数理は検索エンジンと言っても良いんじゃなかろうか。
 データベースがなきゃ話にならんが、検索エンジンがなければ宝の持ち腐れ。問題は、既存のデータベースの中身に価値あるものが残っているのか、いないのか?もしないならどうするか?なんだと思うよ。

クルーグマンが進化生物学を参照するといっているのを下で見た後だと当然といえば当然だが、例えばみなかさんの最新の日記にでてくる以下のセミナーの話とか、まったくパラレルだよな。経済学と違うのは生物学だとまだまだデータベースを使いこなせてないよということだな。でもほれ、ここに検索エンジン、というのがみなかさん、エキサイティングだよな。

第6回都立大学生物学教室セミナー
【演題】生物資源探索ツールとしての系統樹
【演者】三中信宏独立行政法人農業環境技術研究所
【日時】2004年9月24日(金)16:30〜
【場所】都立大学国際交流会館1F大会議室(京王相模原線大沢駅から徒歩7分→アクセス)
【要旨】生物の系統樹は近年ますます広範な研究領域で用いられるようになってきた.それとともに,データから推定された系統樹の用途も拡大してきた.以前は,系統推定することによって得られる知見は,狭い意味での系統分類学であり,対象生物群の系統発生に基づく体系化と整理,そしてそれに付随する生物多様性の評価が系統推定の主たる目的だった.しかし,系統推定のもたらす知見はそれだけにはとどまらない.既存の形質情報(形態や分子)に基づいて推定された系統樹の樹形およびその上で復元された仮想祖先は,未踏査の生物資源のもつ特性や機能を探索する上で強力なツールとなり得る.今回のセミナーでは最近共同研究がスタートした有毒藻類(アオコ類)の解毒細菌の分子系統樹にもとづく機能探索のケースを例にとって話題提供をする.
【参考図書】
P.H. Harvey, A.J.L. Brown, J. Maynard Smith and S. Nee(eds.) 1996. New Uses for New Phylogenies. Oxford University Press.
三中信宏 1997. 生物系統学. 東京大学出版会

いやあ、こういう「科学」は楽しいなあ。みなかさんのとかとはまた具体的には全然違うんだけど、前からここで何回か触れているダン・スペルベルの『表象は感染する−文化への自然主義的アプローチ』(ISBN:4788507781)もスピリットとしては近いものがあると思う。それはともかく、人文系の学問にもかなりこういう発想ってかなりインスピレーション与えてくれるものだと思ってる(いうまでもなく粗雑なアプリケーションはもちろんダメよ)。