二極化する議論

トルコ・イスタンブールであったイギリス領事館とHSBCイスタンブール支店爆破テロが、ブッシュの三日間のイギリス元首訪問(state visit)の中日に起こった。

これは、イギリスをターゲットにしてなされた初めてのテロということで、昨日の夜のBBCの番組Question Timeでも相当熱い議論がなされていた(id:flapjack:20031115参照)。じっくり見ることがなかったので(横で見ながら人としゃべっていたのだ)、この番組での爆破事件についての議論を要約することができないが、昨日一日のニュースを見ていて得た印象についてまず少し書きたい。

すなわち、爆破事件は、ブッシュ・アメリカとの関係についてのイギリス人の考え方について、一種のリトマス試験紙のような効果をもたらしているということだ。

一つは、ブレア・ブッシュが訴える答えである。このような「文明化された世界(civilised world)」に対するテロリズムに屈するべきではない。今こそ堅く立ってテロリズムに戦わねばならない、というものである。このように考える人々にとってみれば、昨日のテロは、「だから、ますますテロに対する警戒を高める必要がある、今イラクから引くというのはテロを許すようなものだ、テロリズムに対して勝利の感覚を与えてはならない」というふうに、この立場を強化するように働く。

もう一つの答えは、昨日のロンドンでのデモに集った人々の考え方であり、「みろ、ブッシュのアメリカとイラクに戦争しにいくから、こういうテロリズムの口実をアルカイダに与えることになったのだ」というものである。いうまでもなく、この立場にしてみれば、昨日の爆破事件はまさにその証拠ということになる。

二つの見方は交じり合うことがなく、二極化しているように見える。