モー・モーラム死去

ロビン・クックが亡くなってショックをうけているのに、今度はモー・モーラム Mo Mowlam が。彼女は、北アイルランド担当相として歴史的な1998年の北アイルランド和平合意(グッドフライデー・アグリーメント)を実現させた最大の功労者として歴史に名を残すだろう。
 ただ、人々が彼女を惜しむのは、なによりも、彼女の政治家然としないあけっぴろげな性格とユーモアだった。そもそも名前からしてモーである。モーというのはマージョリーの愛称である(たとえばジェームズがジムになるみたいなもの)。だけど、マージョリーがモーという愛称になってて、その人が政治家という時点で、この人の人柄があらわれている。*1 彼女が北アイルランド和平合意をとりつけるために奔走していたのは脳腫瘍からまだ立ち直っていない時期だった。薬の副作用で髪の毛が抜けてかつらをかぶっていたのだが、IRAの政治部門であるシン・フェイン党、英国とアイルランド連合王国関係の継続を主張するユニオニストの人々、そしてイギリス政府の交渉が行き詰まったとき、かつらをとってみなを笑わせ、雰囲気をかえたという話はほとんど伝説だ。
 2001年に政界を引退していたが、イラク戦争反対のデモにも参加し、ハイド・パークで演説を行ったのを覚えている。
 彼女の死についての数多くのガーディアン記事は以下から。
http://politics.guardian.co.uk/politicsobituaries/page/0,1441,1552600,00.html
 日本語ではとりあえず以下。
http://www.japan-journals.co.uk/dailynews/050804/news050804_3.html
http://www.japan-journals.co.uk/dailynews/050819/news050819_3.html

*1:トニー・ブレアのもっとも忠実な友人であるピーター・マンデルソンは以前、モーというのは政治家らしくないとして、マージョリーを使うように助言したことがあるらしい。これ自体いかにもマンデルソンで笑える。