プチ・アメリカの光景

id:flapjack:20041104#p1で

僕が属している学科の修士・博士の学生の半分ぐらいはアメリカ人なのだが、今日夕方になってから院生部屋に顔を出したら、このアメリカン・コンティンジェントはアメリカ大統領戦の結果をめぐって話がとまらず仕事にならなかったらしい。みな当然のごとく反ブッシュである。というわけで、みなで今のアメリカを、民主党のふがいなさをなげいていたわけだ。このアメリカ人院生たちのなかにはここのところのアメリカの雰囲気がいやでいやでイギリスにやってきたという人も結構いる。というか少なくともこの点がイギリスにきた理由の少なくとも一つというのが全員なのだ。

と書いたのだけれども、博士課程(をやってる、あるいは終わった)の友人たちと飯を食ったときの話によると、どうも一人だけブッシュに投票した人がいるとのこと。ただ、その子が自分の考えを述べて、まわりの他のアメリカ人が異論反論はあれどとりあえずその子の話を聞く、という雰囲気はまったく存在しない。単純に数的に優位な側にあるケリー陣営(というか反ブッシュ陣営)のアメリカ人院生たちはその人を馬鹿にするというか、とにかくまともな意見をもつ人間として取り扱わない。それがわかっているから、その人は自分の考えをみんなのまえでしゃべることもない、ということなのだ。
 たまたま反ブッシュ陣営の人の数が圧倒的に多いということで、少数派が圧倒されているということかもしれない。アメリカの田舎では逆のこと(ブッシュ派がケリー派を押さえ込む)が起こっている可能性はある。
 反ブッシュ陣営の中には、選挙のあと結果に打ちのめされたあまりフィジカルに気持ち悪くなって寝込んだ人も一人ならずいると聞いた。それぐらいアメリカの未来に思い巡らせている真剣さを買うとしても、「リベラル」を標榜する反ブッシュ陣営が少数派の人の話をあたまから完全否定してしまうのはやはりとてもまずいだろう、すくなくともある種の対話の場を維持しようとする反ブッシュ側のアメリカ人がいてもいいのに、という話が、イギリス人3人、ドイツ人1人、日本人1人の間でなされたのだった。