ブレア発言

id:flapjack:20040929#p2の続きだけれども、ブレアが来年の総選挙後(勝つことを前提として)来期4年満期で首相・労働党党首をやり、それから首相を退くというアナウンスをした。イギリスの政治はこれで大騒ぎになっている。背景と分析に関しては、かみぽこさんに譲る。
http://www.emaga.com/bn/?2004100007129096008222.kamikubo
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/
 付け加えるならば、このアナウンスは、心臓の手術をする直前になされた。もちろんこの手術は比較的簡単なものであるとはいえ、ブレアの健康上の不安を煽るものだ。さらに、このアナウンスには、ブレア家がロンドン市内に家を購入した(今日読んだガーディアンには地図と近所にどういう人が住んでいるかなどかかれてあった:場所はハイドパークの北東の角のすぐ北)という話も含まれている。これは、いうまでもなく首相官邸をでたあとの家の確保ということであり、手術も家の購入も、首相をどれくらい続けるつもりなのか憶測をあおるものだ。そういう話をわざをあつめて発表したわけだ。
 その上で、あと5年首相をやるといったわけで、こうした憶測をあおる材料をあわせて発表し、しかもそれをいっきに断ち切る効果をねらったと。
 これだけでも結構な策士ということだが、それに加えて、かみぽこさんが指摘するように、アラン・ミルバーンらにブラウンと競える時間を与えるという効果があるわけだ。さらに、いやらしいのは、このアナウンスを、ゴードン・ブラウンアメリカに経ち飛行機上にいるまさにそのときにやったのだ。今日のガーディアンの見出しは「(ゴードン)ブラウンの怒りと苦痛 The anger and hurt of Brown」だがその下に、ブラウンに近い人の言葉がおおきく引用されている。

'It's like an Aflican coup. They waited until he was out of the country'
まるでアフリカでよくあるクーデターみたいだ。彼ら(ブレアとその側近たち)は彼(ブラウン)が出国するまで待ってたんだ。

 ブラウンはいつ首相になれるか、と思っていただろうが、いつどころか、なれるかどうか自体が問題になってくる可能性はかなりある。ブレアは自分がレイム・ダックになるかもしれないリスクを冒しつつ大きな賭けにでてきたということだ。これで、ブレア後をにらんだ労働党内部のかけひきが一気に加速・過熱する。今後5年ほどのイギリス政治の新しい章をひらく事件だと思う。
 ブラウンはブレアの発表を聞いたあとも、かなり抑制した対応をしているが、それが逆にいつまでも勝負をしない男として逆効果になる可能性もある(もちろん今は勝負をするにはまったくよい時期ではないが)。ただ、この勝負のタイミングはむずかしい。いずれにせよ、この一件でもブレアの策士ぶりはあきらかで、ブラウンは「苦戦」を強いられるだろう。

日本語がへんだったので、修正加筆した。