マイノリティーの困難

www.cafeglobe.comという「知的好奇心旺盛な、オトナの女性のためのwebメディア」があって、BBSではいろいろなやりとりが交わされているわけですが、6月23日に投稿された以下のような記事がありましたのでご紹介。

Title: 今時珍しい性差別の事実を発見!
Message:
皆さん、JALの「国際線ファミリーサービス」をご存知ですか?海外赴任者の配偶者・子供(16歳未満)・老親(60歳以上)が、赴任者本人の同伴なしに赴任地を訪ねる際、空港ラウンジの利用や通訳アテンドを提供してもらえるサービスだそうです。
そのサービス自体は誠に結構なのですが、つい先日、マニラ勤務の友人(女性)が利用申請をしたら、却下されたとのこと。
理由は「当該サービスは、海外赴任者が男性の場合のみ適用」だから。要は「海外赴任者=男性」「その配偶者=妻(女性)」の図式に当てはまらない、「海外赴任者=女性」「その配偶者=夫(男性)」の場合は、同サービスは受けられないとの回答だったそうです。同じ運賃を支払っているのに、男性海外赴任者の家族はサービスを受けられて、女性海外赴任者の家族は受けられない・・・。友人はJALの複数の部署に掛け合ったのですが、驚くべきことに回答は一枚岩でNO。然も「あなたがサービスを受けたければ、『夫がマニラに赴任している』とウソを付けば利用可能」とまで言われたそうです。この回答を聞くに、JALはサービス規定の改定を考える気もなさそうですよね。
ということで、皆さんに取り敢えず「事実」を知って頂こうと思い、書き込みする次第です。

なーんか、すごい話だなあ。だけど、事実はそうなんだろうなあ。「海外赴任者」(expatriatと英語ではいいますが)の世界というのはたぶん日本国内にいる以上に、男が働き女が家庭を守るという性的分業が確立しまくっている、この点では日本国内よりも保守的な世界です。*1 で、そういうマーケットにJALはあわせているわけでしょう。そこに「マーケットにあわせていればそれでいいのか」という問いかけは存在しないのかもしれない。
 この書き込みのあとにいろいろやりとりがなされてて、この問い合わせた先のJALの担当が女性だったかとかその人の対応はどうだったか、という話にもなっています。そりゃ、気になりますよねえ。
 木でくくったような答えだったという答えだったと思いますが、だからこの対応した女性がJALの方針に賛成だった(そういう可能性はあるわけですが)ということにはならない。賛成でなくても自分ではどうしようもないからこそ木でくくったような対応にしかならない、ということだって考えられます。
 いずれにせよ、いろいろ状況を深読みせざるをえない。こうしたマイノリティー(女性は数のうえではマイノリティーではないですが、「差別」された側という意味で使います)のつらさは、なにかあると、そういう答えのない「深読み」を強いられることです。
 こういうのは、別に男性・女性だけの話ではなくて、アメリカの黒人や、イギリスでのパキスタン系の人とか、そういう人種的民族的マイノリティーの立場に置かれた人にも当てはまる話だと思います。

*1:ただ、日本国内において同じような働きざかりの男性は女性に比べてPTAなどで積極的に活動しないかもしれませんが、海外赴任者の世界では男性は、彼らの子女が通う日本人学校において校長など中心的な役割を果たします。これには彼らが働く企業がこうした学校の運営に資金を出しているからという理由がもちろん大きいわけです。男性の学校への関与はいいことだと思います。けれど同時に、そうなると学校でも仕事でも海外赴任者の配偶者の女性が公的な役割についていることはほぼ皆無になります。ただ、日本人学校の先生には女性の方が多かったりします(イギリス人と結婚された方とイギリスへの留学生のバイト(こちらには男もいますが)がその内訳です)。