ジャーナリスティックな見取り図について

 昨日(id:flapjack:20040609)のコメント欄でのid:hizzzさんのコメントに関連して(id:hizzzさんに対してというわけではなく)、ものすごい一般論を書いてみたい気分になったので、その程度のものとして読んでいただければ、と。
 欧米における(文系)学問の進展のある流れが日本に紹介される際に、当然ながらそれに(多くは適切な)ラベルがつけられて紹介されます。ここで気をつけなければならないのは2点。
1)このラベルが一人歩きすることによって、ある《学派》が実体化(あるいは誇大化)して日本では映るケースがあること。この帰結として、日本では、ある《学派》の流れがやたらに強くなったり、時がたつとやたらに急に古臭くなってだれも見向きもしなくなったり、というようなことがある。あまりにもジャーナリスティックな見取り図に右往左往しすぎという場合がある、ということです(イギリスに来て「いま何が流行ってるんですか」とか聞くやつがいるけれども、「なにも流行ってなんかないっつの」と思う)。そういう《学派》とか見取り図は往々にしてヴァーチャルなもので、仮設的なマッピングとしてのみ有効であるということを意識することが重要だと思う。
2)日本におけるそういう傾向を逆手にとってその《学派》を誇大に見せたい人がいる可能性があること。と書いておいてなんだけれども、個別的な件についてこの側面を言い立てることを僕は好まない。実際にそういうことが起こっているかどうか個々の例について証明できないし、そもそもそんなことどうでもいいから。どの《学派》だろうが、良いものはつかえばいいし悪いものは捨てればいいだけだと思います。