追記

とかいいつつ、まだうだうだと書き込むオレであった。カントとかちゃんと読んでないことがバレバレですな。『純粋理性批判』、これからぼちぼち読もう(なぜか手元には持っているのだ)。

○「カントはこう考えた」石川 文康 1998年筑摩書房
 同じ著者によるカント哲学への案内=「カント入門」(1995年)がちくま新書から出ており、従来どうしても図式的、形式的理解に陥りがちな−そしてそれでもって能事畢れりとする−カント哲学(ことに「ドイツ観念論の系譜」などといった観点からするとそうなりがちである)を、カントの思索の現場へと直接読者を導くことによって、今に生きるカント的問題のありかと「血の通った」ダイナミックなカント像を描いて、好著であった。
 こちらは「純粋理性批判」で展開されている理性のアンチノミー論を敷衍し、理性−理由−原因そして自由が、理性のメタモルフォーゼにほかならないこと、カントは徹底的な決定論者であったがゆえに自由論者でありえたこと、批判哲学による理性の限界の見極めが、実は理性による哲学の再建にほかならなかったこと(躓きの石であり、かつ要石でもある「自由」の理念)が、「初学者にもわかりやすく」述べられている。自ら考えるということは、決して哲学史の最新モードを追うことではないと思っているわたくしなどには、こういう本は実に大きな勇気と養分を与えてくれる。

http://www2.wind.ne.jp/oshima/dokushoshisou.html