IDカード

今日、夕方家で飯をくいながら、テレビを見ていた。たまたま、BBCの番組「ケニヨン・コンフロンツ」をやっていたので、見る。この番組は、ポール・ケニヨンが、悪事をやっている人に知らんふりして仲良くなったあげく、最後に「BBCのポール・ケニヨンなんだけど、あんた、こんなことやってるでしょ。それはいいんかい」と迫ってしまったりする社会派突撃リポートものである。リポートはハードであってしばしばニュースになり政府を動かしてしまうほどであるが(別にこの番組だけじゃないが;こういう番組日本ではつくれんのかのう)、この人の飄々とした味が結構好きでやっていると見てしまう。*1

で、今日やってた話の一部は、人のクレジットカードの明細とかそういうものから、簡単に他人のIDを自分のものにしてしまい、それでカードを使い込むという、ID fraudという犯罪が急増している、という話だった。

ケニヨン自身が、その手口を去年だったか今年の初めだったかに試したのだった。ターゲットは、この問題の担当相である内務大臣デイヴィット・ブランケット。結果、ケニヨンはブランケットに書類上かんたんになりすまし彼の出生届を入手、それをつかってブランケット名義の自動車免許証をとってしまったのだ。しかも、免許証の写真はケニヨン自身。ブランケットは盲目なので、車を運転できるわけがないのに。*2

その後の話が今日だったわけだが、おもしろかったのは、ケニヨンが、この話を、労働党政権が、とくにブランケットが熱心に導入しようとしているIDカードにつなげていたことだ。導入されればIDカードの所持が義務付けられることになる。

このIDカードに載せられるICカードは、、そのなかに、指紋(将来的には虹彩(iris-scan)も)といった生体識別(バイオメトリクス)の電子情報を含んである。イギリスが悩んでいる不法移民の問題をこれで一挙に解決しようとしているのだ。

今日の番組では、安全なIDカードをつくることは非常に難しいということを示すために、オランダの専門家を呼んで、実際に最新式のカードから情報を読み取って、そこにふくまれた指紋などを複写し、傍目には一見わからないテープで指にその指紋をつけることで、指紋検査もパスしてしまった。

要するに、IDカードつくったって、それを破ろうとする人々(特に不法移民(をささえる人々)は断固として破ろうとする人々だ)が、簡単に他人になりすましができてしまうのだったら意味がないだろう、ということなのだった。

専門的にはどうかしらないけど、おもしろかった。